【調べた】LAN内のコンピュータにアクセスできず、DNSを引くと「127.0.53.53」が返ってくる問題
今年の8月以降、以下の症状に悩まされている方はいらっしゃいますでしょうか。
1. これまでつながっていた、LAN内(ホームネットワークやイントラネット)のコンピュータに急にアクセスできなくなった。
2. そのコンピュータには、IPアドレスでなく名前(PC◯◯とか)でアクセスしている。
3. pingやtracerouteを打つと、IPアドレスとして「127.0.53.53」が返ってくる。
3まで当てはまる人は、確実に「TLDの名前衝突問題」にやられています。お見舞い申し上げます。
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■どういう状況なのか
インターネットの偉い人(!)により、お宅のネットワーク設定にNGを突きつけられています。
■何がいけないのか、どうすれば解決するのか
以前までは、ネットワーク内だけであれば自由に利用できた「ドメイン」が、自由に使えない状態になっているためです。
でも「自由に使えない状態」になったことを知らない人が多いので、うっかり使っている人に対してちょっとだけジャマをして、設定変更を促しているわけです。
詳しくはJPNICさんが説明してくれているので、こちらのページをご覧ください。
◇ICANN理事会による名前衝突問題への対応フレームワーク承認のアナウンス
そんなこと言われても知らないよ! どうすればいいんだよ! という方のために、これもJPNICさんが詳しい解説ページを用意しているので、こちらをご参照ください。
◇名前衝突(Name Collision)問題
いろいろややこしいことはあるんですが、ひとまずの対処としては、、
・家庭用LANなら ⇒ ファイル共有を、OSが持ってる機能(Windowsなら「ホームグループ」とか)に任せるように設定し直す。
・職場のイントラネットなら ⇒ おとなしく、Active DirectoryなりSambaなりのサーバを立てる。
といったあたりをやる必要がありそうです。
■もうちょっと詳しく
インターネット上のURLで、最初のスラッシュ「/」の直前の部分を「トップレベルドメイン」=「TLD」と呼びます。
Wikipedia「トップレベルドメイン」
ちょっと前まで、インターネット上で使われるTLDといえば「.com」とか「.jp」とか、少ない種類のものに限られていました。
こうしたドメイン名は「インターネットの偉い人」であるICANNによって厳密に管理されていますが、イントラネットを構築する際にもドメインが必要なので、みんなそれ以外のドメインを勝手に使っていました。
しかし最近、インターネット上で使えるTLDをできるだけ増やそうという方向性が(これも)ICANNによって決定されました。インターネットで使えるTLDとはつまり、ICANNが厳密に管理するものです。これにより多くのドメインが「自由に使えない状態」になってしまったわけです。
別にこれまでも自由だったわけではないので、正確に言うと明確に制限されるようになった、という感じでしょうか。
そして今年7月末に、(やっぱり)ICANNが「名前衝突の発生に対する管理フレームワーク」に関する決議をしました。
このフレームワークでは、ドメインを管理するレジストリに対して
・名前衝突が発生したことをシステム管理者へ知らせるために、「127.0.53.53」を応答すること
を要求しています。この決議を受けて、レジストリ各社(※有名どころではGMOとか)がこの対応を始めたようです。
こうなると、知ってか知らずか勝手にドメインを使っていたネットワークでは、「他のコンピュータにつながらない!」という状況になってしまうわけです。
ICANNからのアナウンスを無視していた報いとはいえ、ずいぶんと厳しい仕打ちです。
とはいえ今さら「今までどおり使えるようにしろ!」と言っても元に戻ることは十中八九ありませんので、こちら側はこちら側で粛々と対応するしかないわけです。
■このページを開いた皆様へ
この変更によって影響を受ける状況というのは限られてますので、ただちにマズいことになる人はそれほど多くないでしょう。
ただ、それはつまり「他でやってる」「お手軽な」解決法がなかなかないということです。
もちろん定石は上記のJPNICのページに従って対応することなんですが、それにはお金も時間もかかります。規模が大きければ大きいほど、かかります。困りましたね。
というわけで、運悪くこの状況に追い込まれたという方々におかれましては、本当に、お疲れ様です。
当方としましては、ここに情報をまとめるとともに心からの応援をさせていただきます。フレーフレー。
※参考にさせていただいたリンク(順不同)
・ICANN新gTLDプログラム委員会、名前衝突問題への対応フレームワークを承認 (ZDNet)
・なぜ希望するセカンドレベルドメイン名が取れないか:名前衝突問題――その意外な影響と対策 (@IT)
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